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Message

メッセージ

「ここでは、誰もが心地よく、
 平等に楽しめる場所でありたい」

鶴見テニスガーデン
​オーナー 齋藤道子

テニス経験もない“普通の主婦”が
突如​会員制テニスクラブのマネージャーに

もともと私は、ここでテニスクラブを運営するなんてまったく想像していなかったんです。

当時は子育て中の普通の主婦だったし、どちらかというと一人で家にこもってミシンをかけている方が好きなタイプで、そもそもテニスなんてやったこともなかったんですから(笑)

でもある日、前任のマネージャーが高齢で続けられなくなって、義父である先代オーナーから「やってくれないか」と。

本当に急なことで、特に引き継ぎや紹介もないまま現場に立つことになって…。会員さんからは「あなたはどなた?」っていうような目で見られていましたし、慣れるまでの数年はとにかく必死でしたね。

最初の頃は子どもも小さかったので、午前中だけ来て皆さんのやっている様子を見るだけ。だから最初はテニスもやっていなかったんです。

でも、しばらくして「テニスをやりなさい」と。業務命令です(笑)

「コートに3人しかいないときにあなたができればダブルス組めるでしょ」って。

「えー!私がテニスを!」って思いましたよ。スポーツ大嫌いだったの(笑)
そこでうちのスクールに入って、いちから指導を受けました。それは厳しかったですよ。他の人たちは普通に打てる人ばかりで。最初は逃げ出したかったですね。

でも「もうやるしかない!」と。

​それが私のテニスとの出会いです。

オーナー写真01
オーナー写真02
鶴見テニスガーデンコート

日々クラブに関わる中で、
少しずつ見えてきた違和感
“すべての会員を平等に扱う”

最初は本当に慣れることで精一杯で、何かビジョンがあったわけではありません。ただ、日々クラブに関わる中で少しずつ見えてくるものがありました。

一部の上手な方やベテランの方がずっと同じコートを占有していたり、マナーが曖昧だったり、そういったことを周囲が言えずに黙認していたんですね。

これって会員制テニスクラブではよくある話で、現代でもそういうところはあると聞きます。

でも私は運営者として“全員が平等であるべき”だと感じていました。だから上手な方でも、ベテランの方でも、固定メンバーで固まるのはダメ。時間が来たら「はい、交代です」ってはっきり伝えるようにしました。その他のルールにおいても例外なく「ダメなものはダメ」って。

最初は多少の軋轢もありましたがしだいに分かってくれて、他の会員さんからも「ちゃんと言ってくれて助かった」とか「コートの空気が変わった」という声が出てきて。そこから、少しずつクラブの雰囲気が整っていったと思います。

“誰であってもルールは同じ”。これが私の運営の基本姿勢です。

公平さって、信頼につながるんですよね。

あと、人工芝を導入したのもこの辺りではうちが一番早かったんですよ。

近隣のクラブはまだハードコートが主流だったんですけど、ハードは年齢を重ねると、膝への負担や球の速さが身体に響いてくる。人工芝ならクッション性があるし、球のスピードも少し吸収されるので、皆さんがプレーしやすくなるんですよね。私は会員さんがこの先も長く、快適にテニスを楽しめる環境をと考えて、思い切って人工芝に全面改修しました。

その後、他のクラブも人工芝を採用し始めました。先駆けだったという点ではうちのクラブの誇りのひとつですね。

“受け入れる気持ち”が大切

以前、他のクラブから移ってきた数人の方がいて、最初は言葉や挨拶を交わすことも少なく、周囲とあまり馴染めていない様子だったんです。すると、長く通っている会員さんから「あの人たち挨拶しないわよね」という声が出て…。でも私は「向こうも慣れない場所で緊張してるんだと思う。だからこそ、こちらから声をかけてあげてほしい」とお願いしました。

「それでも難しければ、私が間に入る。何かあったら私が皆さんを守るから大丈夫!」って(笑)。

そうして、先輩会員さんの方から声をかけたら、すぐに打ち解けてね。だから「受け入れる気持ち」というのが大切なんですよね、お互いに。

そうやって、少しずつ関係ができていくのを見ていると、このクラブの雰囲気って、やっぱりいいなって思うんです。新しい人を受け入れることで、クラブ全体にまたひとつ活気が生まれる。人と人のつながりって、そうやって育まれていくんですよね。

オーナー写真03
オーナーとオーナー代理01
鶴見テニスガーデンクラブハウス

クラブ創立50周年を迎えて

ん〜、いつの間にかっていう感じですね。
「50周年だね」って言われて「あぁ、そうだね」っていう感じで(笑)はい。

でも振り返ってみると、本当にたくさんの方と出会い、支えられてきました。この場所を続けてこられたのは、会員さん一人ひとりの力のおかげです。

結局ここっていうのは会員さんたちと一緒に作り上げてきたクラブなんですよね。私は特別なことをしているわけじゃないんです。ただそこに“いる”だけ。でもその存在が、誰かにとって安心であったり、嬉しいと感じてもらえたりする。そう思えた瞬間が本当にありがたいです。

私が1日不在だったときに「昨日いなかったわね」とか「みっちゃんがいないとつまらない」って言ってくださった方がいたりね。

最初の方にも言いましたけど、私自身、人と交わるのは苦手なタイプで、もともとは家の中で一人で静かにミシンでもかけていたいタイプなんです。でもこのクラブで、毎日会員さんたちと接して、会話をして、笑い合う中で、自分でも驚くほど成長できたと思っています。

​運営において、ずっと大切にしてきたのは、“誰にとっても心地良い場所であり続けること”。そのための会員さん同士の橋渡しやクラブ内の秩序を守ることを一生懸命やってきました。「すべての会員さんを守る」それが私の使命だと思っています。

もう皆さん長くいらっしゃる方たちばかりですけど、うちの会員さんたちは先ほども話した“受け入れる”という気持ちを持った優しい人たちばかり。一緒に人生を過ごしている大きな家族みたいな感じですよね。
そういう方たちと今年(2025年)はちょうど50周年ですけど、大きな節目を迎えられるのは嬉しいですよね。
会員さんに助けられてここまでやってきましたから。

そして、次の世代へ―

今、娘がオーナー代理になって色々やってくれていますけど、会員さんも「千晶ちゃん今日はいないの?」とか「後継者が出てくれて良かったね」って言ってくれるんです。

私も同じようにここに入ったときはテニスもやっていなくて、会員さんも年上ばかりで、そのなかで試行錯誤してだんだん自分の代にしていきました。

私がここの運営を受け継いだときから世の中の状況やテニスの環境ももちろん変わっているのでね、これからは次の世代の人たちが、時代に合わせてこのクラブを形づくっていってくれたらと思います。私たちでは思いつかない新しいアイデアもどんどん取り入れていってほしいです。でも、“誰もが平等に、心地よく過ごせる場所であること”という想いだけは、これからも変わらず大切にしていってほしいですね。

オーナーとオーナー代理02
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